今話題を呼んでいるNetflix配信の「タイプロ」人気の訳

今年4月にSexy Zoneから改名したアイドルグループtimelesz(タイムレス)による、新メンバー募集オーディションに密着したNetflix番組『timelesz project -AUDITION-』(以下、『タイプロ』)が話題を呼んでいる。

先月から始まった同番組は、これまでに配信されたepisode01・02が配信直後にどちらもNetflix国内ランキングで1位を獲得。今後も勢いが増すことが予想される。

このNetflix1位の結果から見ても、『タイプロ』がtimeleszファンや男性アイドルファンのみならず、幅広い層から注目を集めていることは明らかだ。この『タイプロ』の圧倒的ヒットを支える要因はどこにあったのだろうか。

過去のオーディション番組と違う点

他番組と比較して『タイプロ』は、現役アイドルのtimeleszメンバーが審査員を務めるため、元々の知名度も手伝って視聴者の関心は集まりやすい。

一方で、審査員としての実力は未知数だったが、蓋を開けてみると彼らの堂々たる審査員ぶりが視聴者を虜にしている。

特に、候補生との質疑応答の場面におけるメンバー・菊池風磨の鋭く的確なコメントは、まるで一般企業の採用面接のようだとSNS上でも話題に。ときにハラハラするような緊張感漂うやりとりもあり、ドキュメンタリーならではの見ごたえのあるシーンが続く。

『タイプロ』中の菊池の発言「歌詞忘れてるようじゃ無理か。歌詞はね、入れとかないと」が菊池風磨構文としてネットでミーム化したのも、この指摘のヒリッとしたインパクトが多くの視聴者の心に刺さったからこそだろう。

「現役メンバーによる審査」が絶大な効果を発揮

先ほども少し触れたように、『タイプロ』と他の人気オーディション番組との大きな違いは、「timeleszメンバー自身がオーディション審査員を務めている」ことだ。そしてこの違いこそが、『タイプロ』独自のおもしろさを生む一因にもなっている。

通常、オーディション番組を見たあとの視聴者心理としては「候補生の努力や成長の過程を知り、デビュー後もグループを応援したくなる」のが王道の流れである。『タイプロ』の場合は、ここにもう1つ加わって「現メンバーと現グループのマインドを知り、これからのtimeleszを応援したくなる」という効果も期待できる。これはアイドルたちが自ら審査員を務めるからこそ生まれた、オーディション番組の新しい楽しみ方である。

また、候補生に対して抱いた印象を、濁さず直接本人に伝えるスタンスも、timeleszの誠実さを表していると感じた。先ほどの菊池のコメントを借りるならば、「言葉1つが命取り」な芸能人である以上、波風を立てずに言葉を呑み込むほうが安全という考え方もできるだからだ。

これはtimeleszに限らない話だが、特にアイドルのファンではないコンテンツの視聴者が、アイドルたちの精神性を知る機会は意外と少ない。例えば、メディア露出の多い音楽番組やバラエティ番組を見るだけでは、今回のオーディションでわかるような職業アイドルとしてのまじめな一面に触れることは難しいだろう。

そのため、彼らのことをよく知らない視聴者にとっては、『タイプロ』がこれ以上ない“timelesz入門コンテンツ”として機能する。本来であれば、ファンでなければ知り得なかった彼らの本質的な魅力が直球で伝わってくるオーディション番組だからこそ、『タイプロ』はこれだけ多くの視聴者に響いているのだ。

改名前、Sexy Zoneとして2011年にデビューした彼らは、男性アイドルグループとしてすでに中堅のキャリアに差し掛かっている。グループから独立してネクストキャリアを歩むアイドルもめずらしくなくなった昨今、あくまでグループとしてさらなる高みをめざすtimeleszが、新体制となった先でどんなアイドル像を見せてくれるのか。まずは『タイプロ』の今後を楽しみに見守りたい。

Netflix「タイプロ」非ジャニファンも虜にする訳
今年4月にSexy Zoneから改名したアイドルグループtimelesz(タイムレス)による、新メンバー募集オーディションに密着したNetflix番組『timelesz project -AUDITION-』(以下、『タイプロ』)が話題を呼...

コメント

タイトルとURLをコピーしました